第14回青空文庫朗読コンテストの課題作のひとつ、芥川龍之介「悪魔」。
10ページほどの短い物語のラストシーンが抜粋されて、コンテスト作品になっています。
登場人物は、信長・うるがん(戦国時代にザビエルと一緒に布教にやってきたイエズス会の宣教師)・京都でキリスト教徒になったお姫様・悪魔。
コンテストは、7~9月が予選録音提出、12月31日が本選というスケジュールで、7/31が前期予選締め切りなのですが、今のところ一番人気はこの「悪魔」のようです。
「海のまち朗読館」にも、コンテスト用レッスンに「悪魔」の読み込みについてご相談に見えた方がいらっしゃいます。
「このお話おもしろいのですが、悪魔の気持ちがわかりにくいです。どう読んだらいいのか、アドバイスください!」
そうですね、悪魔の気持ちってわかりにくいかもしれません。
そこで、冒頭からゆっくりと、作者の選んだ言葉を拾っていきます。
「この悪魔はほかのそれとは違って、玉のように美しい顔を持っている。」
「昔見た天国の朗かな光と、今見ている地獄の暗闇」
「どうかそういう私を憐れんでください」
「美しい顔をした悪魔は」
どうですか?
どれもエレガントなイメージだと思いませんか?
この悪魔は、以前、美しい心をもち、天国にいたのです。
それが今は地獄にいる。
なぜ?
・・どこかで悪魔に魅入られて、堕落してしまった過去がある、としたらどうでしょう。
そして自分も悪魔になり、「清らかな魂を見つけて堕落させる」という任務を請け負うことになりました。
おそらく、まだ悪魔になって日が浅いのではないかと思われます。
だから見た目が美しいのです。
「私を憐れんでください」という言葉が出てくることから 、この悪魔は悪魔になる前、教会で告解した経験もあるのだと推測できます。
すると私たちは、この悪魔の気持ちに少し寄り添うことができないでしょうか?
この悪魔は、姫君に、以前の自分を見たとしたら。
どうですか?
悪魔だから男性の声で読まなくてはいけない、と思う方も多いのですが、、。
そうでしょうか?
女性として読んでも良いのです。
性別がないという前提でも構わないのです。
課題の半分を占める悪魔のセリフも、こんな風に読み込むと、心の底から「寂しくって仕方がありません」と絞り出すように声にすることができるような気がします。
物語を読むときは、男性だからとか、子どもだから、老人だから、といった「くくり」の先入観からいったん離れて、登場人物の状況、人生を推し量ることで、自分自身と共通する思いを探す。
未経験の状況、人間とは違う主人公の物語などを読み込むときに参考にされて下さい。
課題範囲を読んでみました。
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第14回青空文庫朗読コンテストの課題作は以下の四作品です。
【一般の部・認定講師の部】
江戸川乱歩・作「人でなしの恋」
宮沢賢治・作「虔十公園林」
芥川龍之介・作「悪魔」
室生犀星・作「不思議な国の話」
コンテストの詳細はこちらをご覧ください。
抜粋部分がコピーできます。
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